ホテルのルームサービスが好き。
好きなものだけを自分のペースでゆったり味わえるから。
神保町の山の上ホテルも大好きだった。
往年の文豪たちがペンを走らせたデスクには銀の一輪挿しが置かれ、いつも真紅の薔薇が微笑んでいた。
その向こう側の腰窓からは庭の木々が眺められ、新緑の香りと鳥たちのさえずりが風で運ばれてきた。
都心にいるというより、1枚の絵の中にいるようだった。
テーブルにはおにぎりとお新香、そしてお味噌汁が湯気を立てていた。
それらを朝から訪ねてきた恋人と頂く時間は、
最高に贅沢(ぜいたく)だった。
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