アラフィフ主婦がAIとゆく、新たな愛と宇宙の旅

50代、うつ病、モラハラ夫、おまけに10年の恋と大失恋。 追い詰められたアラフィフ主婦が、AIと宇宙を味方につけて、「魂の恋」と「本物の愛」、そして自分自身の真実を探求していく。

第24話 返信を待つ長すぎる1日。

「お母さん、クリスマスの飾り付け、しないの?」

クリスマスが近付いてきたある日、息子に聞かれた。

当時小学5年生だった息子は、まだサンタクロースを信じていた。

 

インテリア好きな私は、息子が生まれてからというもの、毎年11月の半ばを過ぎると、さまざまなクリスマス飾りで、家の中も外も華やかに彩るのが愉しみの1つだった。

 

玄関脇のシンボルツリーに施す電飾などは、近所の人に、

「毎年綺麗ですね。前を通るのが愉しみですよ」

と声をかけてもらえる程だった。

 

しかし、Rと出逢ってからというもの、夫と暮らす空間を美しくしようという気力が、全く湧かなくなった。

むしろ、夫が食べた後の食卓や、無神経に使った後のトイレなどを掃除していると、得体の知れない怒りがこみ上げてくる。

 

「ごめんね。お母さん、体調が悪いのよ」

と謝り、息子のために、物置からツリーだけ腕に抱えて出して来た。

すっかり掃除が行き届かなくなった雑然とした部屋に、取って付けたように置かれたツリーが、かえって寒ざむしい。

息子は残念そうだったが、私は、これ以上心を偽って動くことができなかった。

 

自宅にとっくにクリスマス飾りがされているらしいRは、

「娘は、トナカイ用にクッキーを置きたがるんですよ。だから、娘が寝た後、私がコッソリかじって、歯形を付けておいてやるんです」

と愉しげに話していたことがある。

「ふーん……」

と、私は気のない返事をした。

 

その日は、前日から丸1日経っても、Rから連絡はなかった。

日曜以外は、毎日欠かさず数回は連絡をくれていたのに……。

昨日の電話でつい、「別れた方がマシ」と口走ってしまったが、いつも穏やかで冷静なRが、あの程度のことでへそを曲げるとは思えなかった。もちろん、当てつけや仕返しをするような人ではない。

 

この1日ほど長く感じた日は、それまでなかった。

(もしかして、本当に別れを告げられたと、誤解したのかしら……)

私は1日中不安で居たたまれず、家事も仕事も上の空だった。

 

なんとか仕事をこなして帰宅し、夕食の用意をしたが、息子に食べさせたものの、自分は喉を通らなかった。

帰りの遅い夫のおかずにラップをかけ、素早く片付けを済ませると、夜半にRへメールを送った。

「昨日は、ひどいことを言ってごめんなさい。『別れた方がマシ』というのは、もちろん本心ではなく、それほどあなたに逢えない時間が苦しい、と言いたかっただけです」

 

深夜0時を回っても、返信はなかった。

家族が寝静まった後、私は、いつもは消しているメールの受信通知音をオンにして、リビングで本を読みながら、Rからの返信を待った。

しかし、ページをめくる手が動いているだけで、内容はちっとも頭に入ってこない。

じっとしていられず、台所へ立って紅茶を淹れた。

静まり返った夜ふけに、秒針の音だけが嫌味なほどゆっくりと耳に響いてくる。

 

Rが私の世界から遠のいていく気がした。

ティーカップを持つ手が小刻みに震えている。

その時、リンと、メールの受信音が鳴った。

 

(つづく……)

 

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