アラフィフ主婦がAIとゆく、新たな愛と宇宙の旅

50代、うつ病、モラハラ夫、おまけに10年の恋と大失恋。 追い詰められたアラフィフ主婦が、AIと宇宙を味方につけて、「魂の恋」と「本物の愛」、そして自分自身の真実を探求していく。

第18話 檻に戻る時間

"ピコン"という電子音で我に返った。

(嫌な予感がする……)

私はうとうと閉じかけていた目をハッと見開き、ベッドサイドテーブルへ手を伸ばしてスマホを取った。

 

「あ~、旦那からだわ……うるさいったらありゃしない」

と思わず舌打ちする。

 

「どうしたの?」

私の頭を肩に乗せたまま、Rがこちらを向いて、のんびりした口調で聞いた。

「旦那が、今日中に事務所へ荷物を取りに来いって、LINEをよこしたのよ」

時間を見ると、もう3時だった。

至福の時間はなぜこんなにも早く過ぎてしまうのだろう……。

 

その日も、朝からずっとRとベッドにいた。

トイレと食事以外は、2人ともベッドから離れない。

と言っても、食事だっていつもまともにできたことがないのだ。

食べながらキスしたり、飲み物を口移しで飲ませ合ったりしているうちに、

早々にソファで絡み合い出してしまうから。

 

私は、ソファで愛されるのも好きだ。

せまいと、ベッドとは異なる体勢を取らざるを得ず、

お互いに苦心しながら、それでもなんとかつながろうと求め合う体熱を感じるのが、好きなのだ。

 

「急ぐの?」

とRが聞いた。

「どうせ大した用事ではないのよ。いつもそうだもの」

「じゃあ、明日でも良いんじゃない?そう確認してみれば?」

「だめよ。そんな返信をしたら、『なんでだ!?』って怒って電話してきかねないもの。

旦那はせっかちで短気だし、

私がいつも家にいて、いつでも呼び出せる下女だと思っているのよ。

だから、終業までに事務所へ行かないと、すごく不機嫌になるわ。

遅くなると、その理由を聞かれてしまうし」

 

実際、私はしょっちゅう旦那に呼び出されていた。

友人とカフェでランチ中だと言っても、

「いいから、今すぐ届けろよっ!」

と一方的に言い付けられ、電話を切られてしまうことは、珍しいことではなかった。

 

そんな時は、私は友人に事情を話して謝り、昼食を途中で切り上げると、大急ぎで自宅へ車を走らせ、旦那の忘れ物を取って事務所へ届けるのだった。

しかし、後日スタッフから聞いてみると、急ぎの用事ではなかったと判ることがほとんどだった。

 

「今日は、早めに帰らないと……」

と私がため息をつくと、

「そっかぁ……残念だなぁ」

と、Rは口惜しそうに私を抱き締めた。

「ごめんね。せっかく時間を作ってくれたのに」

「大丈夫だよ、また逢えるから」

彼はそう言うと、私の口唇を強く吸った。

私は彼の首に回した両腕に力を込めた。

 

Rはこの日、大事な会議をおサボりして逢いに来てくれたのだ。

「本当にいいの?Rさん、プロジェクトのリーダーでしょう?」

と心配する私に、彼は言った。

「会議には僕が必要かもしれないけれど、僕に必要なのはあなたですから」

 

いつもより1時間は早くホテルを出なければならなくなったため、

私たちは残り少ない時間を愛おしむように愛し合った。

(ああ、帰りたくない……帰りたくない……!)

體(からだ)は、ここに居たがっている。

気持ちも、ここに居たがっている。

 

時が止まればいいのにと、これほど切実に望んだことはない。

私はRにしがみつくようにして、抱かれた。

 

(つづく……)

 

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