今夜も深夜3時を回ってしまった。
Rと出逢ってからというもの、家族が寝静まった後に、
毎夜メールでつながれる時間が、待ち遠しくてたまらない。
「あなたとは、メールでもいいからしょっちゅうイチャイチャしていたい」
と彼が言ったが、私も同じ気持ちで、
気付くと、メールを夜中じゅう何往復もしている。
その夜は、長年見ないようにしてきた夫に対する自分の本心を、ついRに吐き出してしまった。
私はもう夫を愛していないどころか、嫌っていたのだ。
なのに、これからも延々と続けなければならない夫婦生活を思うと、やるせなくなった。
しかし一方で、どこかすっきりとした気持ちもしていた。
リビングの照明を消して、足音を立てないように階段を上がり、寝室のドアをそっと開けた。
息子も夫もよく眠っている。
私のベッドは2人に挟まれるように置いてあるから、どちらも起こさぬように気を遣いながら、静かに寝床に入った。
グぁー、グあぁーと夫のイビキがひときわ高くなり、ギクリと様子を伺う。
夫は寝返りを打ってあちらを向いた。
その背中を見た時、私は突然、とても不思議な気持ちに襲われた。
(この男、誰?……知らない男がいる)
と。
こいつは私の夫ではない。
全く知らない男だ。
なぜ私の隣で寝ているのだろう?
私と夫のベッドは数十センチしか離れていなかったが、
その間に、“透明な鉄のカーテン”が現れた。
向こう側が、別次元にある世界に見えた。
でも、もう私は孤独を感じなかった。
遠くにいても、息遣いが聞こえるほど、今も近くに寄り添ってくれている男(ひと)がいる。
私は、胸や背中にRの手の温もりを確かに感じた。
思わず微笑みながら、眠りに落ちた。
(つづく……)
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