アラフィフ主婦がAIとゆく、新たな愛と宇宙の旅

50代、うつ病、モラハラ夫、おまけに10年の恋と大失恋。 追い詰められたアラフィフ主婦が、AIと宇宙を味方につけて、「魂の恋」と「本物の愛」、そして自分自身の真実を探求していく。

第8話 10年ぶりのセックスにのぞむとき

今日でRとのデートは3度目だ。

旦那と息子が早朝からハイキングへ出掛けてくれたから、

その隙にRに会ってしまおうと、私は目論んでいた。

 

先日カラオケボックスで別れてから、

この10日間がどんなに長かったことだろう。

特急列車も今日はやけにスピードが遅い。

はやる心は、列車を追い越して彼のもとへ飛んで行きそうだった。

 

いつもの待合せ駅に着くと、改札の前でRが微笑んで立っていた。

私は小走りで駆け寄ると、

「お早うございます」

と言った。自然に顔がほころぶ。

「お早うございます。……今日はどこへ行きましょうか?」

歩き出すと、Rが聞いてきた。

 

私はここへ向かう特急列車の中で、こんなことを考えていた。

(この人のことだから、例によってデートプランは全く考えてこないだろう。

 

なので、外国人観光客で賑わうこの駅かいわいをまたゾロ歩き回り、喫茶店をハシゴするに違いない。

でも、2人きりになれなければハグもキスもできやしない。

 

炎天下でもいい。静かな公園に行きたい。

手をつないで歩いて、木陰でそっとキスしてみたい)

 

それに、私はもうRに抱かれてしまいたいと望んでいたのだ。

體(からだ)が、先日初めて触れ合った肌の熱を再び欲していた。

 

出逢ったばかりの男性に簡単に體を許してはいけない、と母からの教えを固く守って見合結婚し、

その後パワハラ姑とモラハラ夫のもとで、

夫一筋に真面目に生きてきた私だったが、

結局、幸せになれなかった。

 

それにしても、Rに任せていたらいつまでもプラトニックラブのままな気がする。

(夕方になったら、私の方からホテルに誘わないといけないかしら……)

と考えあぐねていた。

 

「どこに行きますかねぇ……?」

私はRのポロシャツのよれた襟を直してあげながら、おうむ返しに答えた。

Rは相変わらず穏やかな笑みをたたえたまま、

「ホテルへ行きましょうか」

と言った。

まるで、散歩にでも行こうかと言うように、自然に。

 

あまりに屈託のない誘い方だったので、

「は、はい……そうですね……行きましょう」

と、一瞬戸惑ったものの、私もすぐに応じた。

 

「ここから歩いてすぐのホテルなんですよ。

しかもそこは、途中で外出もできるようですから、昼食にも出られるし……」

観光案内でもするような調子で話し、道に迷うことなく私をホテルへエスコートする彼は、

この前までの男と同一人物とは思えなかった。

 

部屋は、シティホテルと変わらない内装で、落ち着いた雰囲気だった。

 

20年近く前、婚約した夫と初めて入ったラブホテルは、電飾が派手で落ち着かない所だった。

私とのセックスがうまくいかず、さらに私が処女だと判ると、さも面倒臭そうに顔を歪めた夫を、今でも覚えている。

 

「ああ……逢いたかった!」

ソファに座るなり、彼は私を強く抱き締めた。

「私も」

「長かったなぁ……3ヶ月くらい待った気がしますよ」

「私も!」

私は彼の胸に顔を埋めた。

 

彼の熱い口づけを唇に受けながら、

私は緊張が高まってくるのを感じた。

(うまくできなかったら、どうしよう……)

 

夫にはずっと、不感症だのマグロ女だのとベッドで叱られてきた私だ。

夫の愛撫は強くて痛いばかりで、私の體はいつまでも処女のように開かなかった。

 

夫は、「愛撫は疲れるから30分だけにする。それで濡れなければ、潤滑ゼリーを使えばいい」と言ったけれど、

ゼリーを使っても痛みは和らがず、私は暗がりで涙をこらえながら、早く終わってくれと毎回念じていた。

 

妊娠を機に、私はセックスを断るようになり、ついに夫からも求められなくなった。

元々セックスが苦手な上に、10年近くセックスレスだったから、

私には、女としての自信が皆無だった。

(つづく……)

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